2018年12月4日火曜日

AD4351 PLL Board

 AliExpressでAD4351PLL基板が格安で販売されているのを見つけ購入した。
ADF4351 35M-4.4GHz PLL RF Signal Source Frequency Synthesizer Development Board Z07 という名称で出ている。価格は $18.8である。
取り敢えず動作確認を行ってみた。
このボードの仕様は
Requency range: 35MHz-4.4GHz
Power supply: DC002 Interface DC4-9V typical 5V
Output signal: 2.2-4.4GHz fundamental wave (sine wave)
Output signal interface: SMA female
Default + -50ppm 25M import active crystal
Control: three-wire SPI control pins and lead locking pin allows all state functions,
including point frequency sweep and frequency hopping, stepping to be 1K,
low frequency step can be to 0.1K, the crystal. to decide.
Size: 7.6*3.7cm/2.99x1.46inch
と書かれている。
基本発振周波数は2.2GHz~4.4Ghzでそれ以下は1/2,1/4,1/8,1/16,1/32,1/64のプリスケラーで分周して出力するようになっている。
分解能はPLLの比較周波数に依存するため、基準信号とレジストリーの設定で色々出来るようであるが、Si5351PLL並みに面倒な設定が必要だ。今のところこのPLLをVFOとする予定はないので詳細のお勉強は後回しとして、色々公開されているファームウェアを使って動作試験を行った。
 ハードウェアは、Arduino-UNO、LCDシールドとこのPLLボードの3つである。(いづれも中華製である)
これで35MHz-4.4GHzまでの発振試験が出来る。
ハードウェアの構成及びファームウェアは以下をそのまま利用させていただいた。今回はオリジナル性はまったくない。

このPLL基板には基準クロックとして25MHzのクリスタル発振器が搭載されている。+-50PPMとかかれており、試験したところ1GHzで15KHz程度ずれていた。調整も不可能である。そこで手持ちの発振器(10MHz,+-2.5PPM)を外付けとした。これで取り敢えず1GHzで10Hz誤差程度に収まっている。
 
35MHz,430MHz,2GHzの出力を見てみた。
35MHz
クロック等のスプリアスが見られるがBPFで十分削除できるレベル。想定外に綺麗である。

430MHz
スパンが広いので色々見えているが、BPF等で十分対処できると思われる。
2GHz-1
これを見るとかなり近接スプリアスが多いように見える。
2GHz-2
スパンを500MHzにすると基準10MHzのスプリアスと思われる。BPFでどれだけ削減できるか実験が必要だがコンバーターの局部発振としてなら十分使えそうだ。

我家での発振周波数としては最高値を更新。4GHzも発振していると思われるが測定限界(3GHz)を超えており確認できない。PLLのLockが頼りである。

これを使う予定としては、430MHzのトランスバーター用ローカル発振器である。28MHz親機でカバーできる範囲が2MHzなので、2MHzステップでローカル発振器を切り替えることにより430MHzの10MHzをカバーしようという企みである。
出来れば1.2Gにも挑戦してみたいものである。

しかしこれが$18.8とは驚きである。


2018年10月28日日曜日

50MHz Receiver for PSN-Transmitter

 前回ブログで紹介したdsPICによる送信機が完成したところで、QSOの為には受信機が必要だ。新しく作るのもいいのだが、早くQSOを行いということから、以前ブログで紹介した7MHz受信機を50MHz用に改造することにした。

改造の要点は、

  • 50MHzPSN送信機とトランシーブする
  • そのため送信時に受信周波数の2倍のVFO出力が出来るように改造する
  • RFアンプと混合器を7MHzから50MHz用に改造する
  • 受信機をコントロールしているArduinoのスケッチを改良しトランシーブ対応とする。
【RF&MIXER】
 回路はごく標準的なもので、RFアンプに2SK439(2SK241)、混合器に3SK73を使用。
CQ出版の鈴木氏の「無線機の設計と製作入門」を参考とした。混変調等を考えると少し弱いかと思うが、昨今50MHzも空いていることから増幅度優先で採用した。

【VFO】
 受信時は中間周波数とUSB,LSBの周波数分シフトした発振となっているが、送信時は目的周波数の2倍の周波数が必要となる。この受信機にはSi5351を使用しているので、この周波数にも対応が出来る。
 送信機にもVFOを内蔵しているが、設定をEXT-VFOとすると受信機側で自動的に2倍の周波数を出力するようにスケッチを改良している。また送信機のVFOを使用するときは送信時に受信機VFOの発振を停止している。

【Arduino】
 スケッチはVFOのところに記したようにVFO周波数コントロール部分を書き換えた。
ここで一番問題になるのは受信時と、送信周波数がぴたりと同じでなければならない。
 PSN送信機では出力周波数の2倍の周波数が必要です。このため誤差も2倍になる。
そのためには本来Si5351の基準クロックである25MHzの精度がかぎとなる。然しながらここに使われているクリスタルは汎用のもので制度は求められない。このためスケッチに誤差補正分を演算している。といっても単純に誤差分を足したり引いたりと原始的手法で対応している。十分エージングを行い、誤差分を書き込んだ。そのため広い周波数範囲ではまだ誤差が発生すると思われるが、SSBのみの範囲では十分対応が出来ている。

【送受切替】
 送信時にHiとなる信号と、外部VFOを使用する場合にHiとなる信号を送信機から受信機のArduinoに取り込み上記のような制御を行っている。この辺りはもう少しスマートな制御回路としたかったが、既に有る7MHz受信機を改造したため、多少雑な処理を行った。

【運用】
 これで送信機、受信機がそろった。最近はトランシーバーが主流であるが、久々のセパレートタイプも趣があり気に入っている。
 受信感度もFT-991と比較して遜色がない。課題としてはAGCがある。増幅怒涛が変わったことから時定数の見直しが必要のようである。これについては暫く様子を見てから手直しをする予定。
 数曲との交信を行ったが、周波数がズレていると言うレポートも無いので、送受信時の誤差は許容範囲に収まっているようだ。各局とも音質については非常に良いとの評価でさすがPSNであると実感した。また、「初めてPSNの信号を聞きました」というコメントもあった。フィルターを使わないSSBでこれほど簡単に高品質のSSBが出来上がったことに満足している。当分はメインの装置となりそうである。

 今回詳細説明はしていないので、疑問点や質問があればコメントまたはメールでも頂ければ幸です。聞こえていましたらQSOお願いいたします。

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JA2NKD Ryuu






2018年10月14日日曜日

50MHz PSN Transmitter using dsPIC

 前回のブログにUPしたdsPICを使用したSSB-Generatorを元に50MHz送信機を制作してみた。
 dsPICによるPSNについては前の投稿を参照願います。
Front View

【構成】
 SSB信号は、dsPICと直交変調器(MAX2452)の2個のICで出来てしまう。従来のフィルター式のものと比べると非常に簡単である。あとは、これらを送信機とする付属回路である。これらについてはごく一般的な回路なので特段説明の必要はないと思うが、簡単に以下に纏めた。
Block diagram
  • Mic Amp
     マイクアンプはTA2001Sを使用。性能は今一歩であるが、簡単にコンプレッションが使える。

  • Mixer
     今回色々試験を行えるように外部音声入力を付けたことと、送信機試験のために1kHzの発振器を組み込んだ。(最近年のせいか口笛がにがてなので)そのためにオーディオミクサー(1/2 MC1458)を設けた。それぞれのレベル調整を半固定抵抗で行いミクサーに入力している。その後にマイクゲイン調整用可変抵抗をパネル部に設けている。その後1段の増幅器(1/2 MC1458)を通してdsPICに入力している。
     1kHz発振器は一般的なCR位相発振器で、この信号を送信機の最大出力になるようレベル調整してある。今までは外部からオーディオ信号を入力していたが、簡単な発振器を組み込むと至極便利である。

Mixer

Phase Shift
 dsPIC33FJ64GP802を使用しオーディオ信号からPSN信号(0,90,180,270°)を作っている。また300-3kHzのBPFが組み込まれており、不要輻射の無い綺麗な信号が形成される。
 詳細は前回のBlogを参照。(これを作られた上保さん(JF3HZB)にはサポートもしていただき 深謝)
 位相差信号はオーディオ帯域においてほぼ完ぺきなリサージュ波形が観測されている。(前回のBlog記事参照)
Phase Shift (dsPIC33FJ64GP802)

  • Quadrature Modulator
     MAX2452の日本語データシートには直交変調器と書かれている。このICはオーディオ位相差信号を入力しVFOから送信周波数の2倍の周波数を入力すると、SSB信号ができる非常に便利なICである。内部には発振回路もありPLL回路等と組み合わせることができるようになっている。今回は外部(Si5351)から入力している。
     SSBモード(USB,LSB)の切り替えは位相差信号を入れ替えることにより簡単に変更できる。回路図の通りリレーを使いマイコン(Arduino)で制御し切り替えれれるようにした。
     MAX2452の出力は平衡であり、レベルも低い。トランスで平衡-不平衡変換しFET(2SK439)のソースフロアで受け、その後MMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit)のSGA4586を使用している。以前秋月で販売されていたが、最近は見ない。この後に7Kコイル(FCZ50)2段のBPFを入れてある。これでどうにか-10dBm程度の出力が確保された。

Quadrature Modulator

  • Linear
     今回リニア部分は手抜きで、以前作成したHF用QRPリニアをそのまま使用した。構成は(RD00HHS1-RD06HHF1)である。HFでは5Wであるが、50MHzでは3W弱である。回路を見直せば5Wは出せると思うが、QRPとしてはちょうどよいので、このままとしている。

Linear Amp
  • Control
     送信機としてのコントロール回路として、Arduino-UNOを使用。UNOと言っても既製品のボードではなく、ATMEGA328にUNOのブートローダーを書き込んだものを単体で使用し、省スペース化を図った。これ用の基板はaitendoで販売されている「あちゃんでいいの」を使用している。表示はキャラクタLCD(2x16)にI2Cインターフェース(PCF8574A)を使用しArduinoに入力、VFOもI2Cで使用できるSi5351を使用。これに夜rArduinoのI/O端子も節約できる。
     VFO周波数は出力周波数の2倍の周波数が必要なので、この意味からもSi5351が適任である。Si5351から出力された信号は、7kタイプのコイルボビンで100MHzに同調させたものを2個使用したBPFを通してMAX2524に入力している。
     今回「TUNE」というスイッチを付け、押している間だけ1kHzオーディオ信号を発信させ、同時に送信状態として試験できるようにした。


Control (Arduino ATmega328)
  • Other
     今回dsPICを使用したPSN送信機として初めての製作なので、色々実験ができるようにした。1kHzOSCもその一つであるが、コイルをプラグインにして他の周波数でも実験できるようにした。プラグインは写真のようにユニバーサル基板にピンヘッダーを付けてソケットに差し込む形とした。
     また、受信機とのトランシーブを考慮して、PTT,VFO切り替え、モード情報をコネクタに用意してある。これに対応できる受信機が次の目標となる。
     またこの製作を基礎にオールバンド送信機を製作したい。
【動作】
  ローカル局に音質モニターをお願いしたところ、非常にクリアで音質に問題はないとの評価をいただいた。やはり想定通りPSNはいい音のようである。
 また、フィルター式と違い調整個所がなく、キャリア漏れや、逆サイドの漏れも感じない。製作が簡単で、性能がいい送信機となったようだ。
 これが実現できたのも上保さんの作られたプログラムのお陰である。サジェッションを含め 深謝
Back View

【参考回路図】
 回路図を以下に掲載




It is hard for me to write in English, so I write it in Japanese. If you have any questions, please write an email or comment.
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JA2NKD Ryuu

2019.02.28 Mixer schematic corrected

2018年8月11日土曜日

Experiment of AF_PSN using dsPIC

 JF3HZB 上保さんがdsPICを使用したPSN(Phase shift Network)を公開された。
これはdsPICというDSP機能付きPICを使用しAFの位相差信号(0° 90° 180° 270°)を作り出すものである。従来アナログ式ではオールパス、PPSNといった方式で位相差信号を作り出しているが、オペアンプやCRを大量に使用したもので製作が大変であった。これをDSPで実現したものだ。またその性能は帯域全体で実現されている。アナログ方式では実現できない。それがこのIC1個で実現されていることは素晴らしい。勿論昨今のSDRなどでは同様のことが出来るのだが、私には製作が困難だ。
 かなり以前に位相差AF信号でSSBを発せさせることが出来るIC(位相差変調器)をオークションで購入していたこともあり、これを活用できる。
 早々実験をしてみた。

【dsPIC】
 詳細はJF3HZB上保さんのBlogにあるので参照されたい。
 普段はArduinoしか使っていないのでdsPIC(PICを含めて)まったくの無知である。
 公開されているソースファイルをコンパイルしdsPICに書き込む為PICメーカーサイトからMPLAB X IDE(無償)をパソコンにインストールしなんとか書き込むことができた。
 ここで使用したdsPICはdsPIC33FJ64GP802というものだ。

【位相変調器】
 使用したICはMAXIM製のMAX2452である。このICはかなり以前、偶々オークションで見つけて落札したものである。落札当時はAF位相差信号を作るためオールパスやメリゴ等の方式しかなかったため製作が面倒で死蔵品となってた。
 外部入力または自励発振で得たRF信号を内部でAF位相差信号と混合してSSBを出力を得ることが出来る。RF信号は目的の出力信号の2倍の周波数となる。ハイブリットで作る場合は、RF位相差信号を作りDBMを2個使うことになる。
 同様のICとしてNECのuPC8101GRやシーメンスのPMB2205というものがCQ出版「実験して学ぶ高周波回路」に掲載されている。参考にされたい。確か以前JA9TTTさんもuPC8104の紹介をされていたと思う。これにも同等の機能があるようだ。
 これらのICは殆どがディスコンとなっているので入手が難しいと思われる。最近お世話になっているJH8SSTさんがebayで購入されたので、探せばまだあるかもしれない。

【回路】
 今回の実験はマイクアンプにTA2001Sを使用しdsPICでAF位相差を作りMAX2452に入力。外部信号発生器からVFOとしてMAX2452に入力して行った。
 MAX2452の出力はトランジスタ2段非同調としている。この回路は「MAX2452 SSB」でWeb検索で見つけた「SSB modulator covers HF band」を参考にした。

      2018.08.12 8pinにバイアス追加(回路図修正済み)

【実験】
 AFジェネレータからマイクアンプに入力しdsPICの出力を見てみた。(写真参照)
pin26から0°、pin25から-180°、pin24から-90°、pin23から-270°が出力されている。
0°を基準に各信号を表示してみると綺麗に位相差が出来ている。0°と-90°でリサージュを見てみた。1kHz以下で少し変形が見られるが、概ね良好な円が表示された。(上保さんのアドバイスで改善 下記に追記)また、バンドパス機能が働いているため200Hz、3100Hzでは信号が完璧にカットされている。アナログフィルタでは実現不可能である。

 この4信号をMAX2452に入力したところ無事にSSBが出力された。

 写真は2信号を入れたときの出力信号である。SSB信号が出来上がった。出力レベルは、VFO入力レベルを変更(-10dBm~+5dBm)しても変化は無かった。また周波数としては最高100MHzを入力し50MHzを出力できた。
ただ出力20Mhzより高くなるに付けて出力レベルが6dB程度下がる。この辺りもマルチバンドで実用化する場合には検討を要する。また、入力後暫くすると波形が少し乱れる
(上保さんのアドバイスで改善 下記に追記) 原因は不明。これから信号レベル、インピーダンスマッチング等詳細に調整が必要かもしれない。

 今回は簡単な実験なので正確なレベル等は測定しなかったので、傾向として参考にされたい。
 フィルターも使わず、IC2個(dsPICと変調用IC)、これにリニアをつければ高品質なSSBが出来そうである。SDRなどは私には無理であるが、これならば実現できそうである。
 このような素晴らしいものを公開されたJF3HZB上保さんに感謝申し上げたい。
 是非これを実用機として作り上げたいと思う。

追記(2018.08.12)
 早々上保さんよりコメントを頂きました。リサージュ及び出力波形の乱れは、dsPICの8pin AF入力が信号源からコンデンサー結合で入力されているため、8pinの電位が安定しないことによるとの事で、8pinに1/2Vccのバイアスをかける事により改善された。
 全音声帯域で綺麗なリサージュとなり、出力も安定して綺麗なSSBが出力された。
 これで送信機の製作に弾みがつく。
 上保さん誠に有難うございました。
 改善後の波形を以下に添付

 

2018年2月11日日曜日

mcHF SDR Transceiver version up (Ver 2.9.0)

Although mcHF was just completed, there was information on upgrade of UHSDR firmware from JA2GQP.
New Version 2.9.0 (10 Feb.2018)
I upgraded it immediately.
Although there are many changes, the display of spectrum scope and waterfall is diverse. You can change the color of the bandwidth according to the mode as shown in the picture. It is easy to use.
For details, please refer to UHSDR.

Let's enjoy homebrew.
73's JA2NKD Ryuu

2018年2月9日金曜日

mcHF SDR transceiver

昨年買っておいた「mcHF SDR Transceiver」をやっと製作した。
このトランシーバーはイギリスの無線家 M0NKA が開発したSDRトランシーバーだ。海外では非常に人気が有り、youtubeにも多く投稿されている。以前から使ってみたいと思いながら見ていたが、昨年やっと入手した。キットにはフルキットとチップ取付済みのものがあったが、よる年波でチップ取付済みのものを購入。キットは基板キットであり、ケースはない。使用しているケースはAliで購入した。この手のものは中華ですぐ商品が出てくることにはほとほと感心する。以下の写真は製作前のケースとmcHFキットである。

【 仕様 】
概略以下のようなものだ。詳しくはmcHFのHomepage等を参照されたい。

  • Bands :80, 60, 40, 30, 20, 17, 15, 12 and 10 meter amateur bands
  • Output:0.5,1,5,10W(28MHzでは7W位)
  • Mode : CW,AM,SSB,FM,RTTY,Digital-mode
 又、CATコントロールにも対応している。まだ他にもあるかもしれないし、ファームウェアのバージョンアップで色々な機能が追加されるかもしれない。進化していくトランシーバーと言える。
 ブロックダイアグラムは上の画像のようになっている。

【 製作 】
  製作に当たっては、M0NKAのホームページにマニュアルが掲載されていることと、今までに製作された無線家によってい色々なインフォメーションがNET上にUPされているので、それら資料を良く読んで製作すれば出来上がる。再現性は高いと思う。
 一番の難関は、ケースである。このケースはバージョン04,05用であるが、購入したmcHFはバージョン06であった。内部シールド板に多少の加工が必要である。それほど難しい加工ではない。また、コネクタ、ジャック、LCD,スイッチ等は基板直付けなので、ケースとの整合を検討しながらハンダ付けをおこなう必要がある。ケースの精度は少々甘いと言わざるを得ない。これらについてもNETを探れば多少の情報は得られると思う。
LCDはコネクタで取り付けられるようになっているが、これを使うとケースには収まらなくなるので注意。基板直付けとした。
 基板にスイッチ、ロータリーエンコーダー、コイル、LCD等を取り付けたところ

【ファームウェア】
  流石にマイクロプロッセッサーを使ったトランシーバーなのでソフトウェアを入れないと動かない。ファームウェアにはいくつか種類があるようだ。本家では総てを公開しているので、これを元にしたものがNET上にある。
 私はDF8OEによるUHSDRというファームウェアを採用した。このファームウェアはバージョンアップしたときに、そのプログラムをパソコンからUSBメモリーにコピーし、mcHFのUSBに差し込んでPowerONすることにより更新出来るという優れものである。

【 動作 】
 動作状態の一部を紹介しよう

PowerONしたときの画面。バージョンが表示される。現在は2.7.xxがUPされているが、様子を見て落ち着いたときにバージョンアップしようと思う。

 受信状態である。下部にはスペクトラムがリアルタイムに表示されている。勿論受信音も出ている。FT-991を持っているが、同時動作は出来ない。FT-991Aで同時動作となったが。
1スパンが3KHzなので受信音の音声スペクトラムが見られる。これで信号の帯域幅や
高音低音の強度もイメージとして判断できる。入力信号のレベルもデシベル表示できる。精度も高く標準信号発生器と比較して1dBの誤差であった。勿論アジャストできる。
 もうこれは測定器として使えるレベルと言えるのではないだろうか。
 スペクトラム表示はスイッチ操作で簡単にウォーターフォールに切り替えられる。実に楽しいトランシーバーである。
 メニューを表示したところである。これは一部でスクロールさせるとまだまだ多くの項目がある。まだすべては理解できていない。

 これは出力設定のメニューである。バンド毎に出力が5Wになるように右端の数値で調整する。これでバンド毎の誤差がなくなる。これを基準に1W,0.5Wと自動的に調整される。出力レベルまでマイコンにより調整されている。さいきんのメーカー製では当たり前だが。
まだまだ紹介したい機能は沢山あるが、きりがないのでこの辺りにしておく。

【 後記 】
 実際に使用してみるとそのすばらしさが更に増幅される。実に遊べるトランシーバーである。最近判明したのだが、周波数表示のシフトやPTTの遅延機能があり、簡単にトランスバーターに対応できる。50MHzなどのおやきに使うのもいいと思う。最近ebayで安価なリニアが販売されているのでこれを作ってみようと思う。(下の写真参照)
 
 今回製作にあたっては、先行して製作されたJA2GQP OMに助けられながらの製作であった。OMには大いに感謝である。
 mcHFは現在07バージョンとなっており基板が大幅に変更されている。これはデザイン的にも優れており、もう1台購入したいと思う。
 このような素晴らしいキットを開発、販売されているM0NKAには感謝である。国内でもこのようなキットメーカーが現れることを期待したい。

73’s DE JA2NKD

 





2018年1月21日日曜日

Knobless Wonder 21MHz Version

 7.160Mhz,7.2Mhzのクリスタルを使ったKnobless Wonderを製作した。出力2WでシンプルなSSBトランシーバーであるが、それなりにQSOも出来ている。こうなると他のバンドではどうだろうかと思い、中華より21.250MHzのクリスタルを仕入れ製作した。
 N6QWがSimpleceiverを発表しJH8SSTさん等が製作し、その優秀さを報告されているが、このKnoblessWonderは更にシンプルである。ダイレクトコンバージョンSSBと言えるかもしれない。当然のことVFOもないので固定周波数ではあるが。
 思えば開局当時はクリスタルによる真空管送信機での運用だった。最近はDDS,SDRといった最新技術が当たり前になってきたが、このようなシンプルなトランシーバーでQSOが出来るのも自作の醍醐味であると思う。

 回路については以前公開した7MHzと基本的に同じなので、合わせてみていただければ幸いです。 ここでは、7MHzタイプから変更したところを書いていく。

 最初にフィルタの特性である。
4ポールラダーである。思ったよりまともな特性となっている。Cは両端82pF、中間は150pFとした。フィルターの中心は21.245MHz辺りとなった。クリスタルの周波数より5kHzくらい低くなっている。

 キャリアOSCはUSB用なのでフィルタ周波数21.245MHzより低くする必要があるため、直列にコイルを入れたVXOである。コイルは10uHでは発振が停止する。3.3-5uH位がいいようだ。 最終的には21.243MHz位にあわせている。ここの部分はカット&トライが必要。

 復調、変調共用にDBMを使用した。7MHzバージョンではSBMであった。多分SBMでも十分と思うが、SBMでは出力波形が今一だったので21MHzと言うことも有り、DBMとした。ダイオードは1SS108ショットキーダイオードを使用した。コイルはFCZ7K-21を使用している。FCZコイルはバイファイラー巻きなのでDBMに使用できて便利である。同調コンデンサーは47pF。FCZコイルは既に販売されていない。ここで使用したものは大昔東急ハンズで購入したものだ。昔はハンズでこのような電子部品まで販売されていたのだった。
 DBM後の送信用バッファは、DBMコイルの中間から取ることからFETによりHiインピーダンスで受けている。2SK241を使用した。

 送信ファイナルの負荷には1:4の伝送路的トランスとした。ここは2W程度なので原設計のように直結でいいかもしれない。比較はしていない。

 その他のアンプ部分は原回路と同じである。
ここで完成となればいいのだが沿うわ行かないのが21MHz。
送信時に無変調時に発振を起こした。原因を調査していくとアンテナ切替リレーからの漏れ信号が受信アンプ回路を経由し送信トランジスタにフィードバックされていることがわかった。回路がバイテラルで送受信が分離されていない為である。7MHzでは問題ないが、21MHzではそうはいかないと言うことだ。仕方なく送信時受信アンプの入力にシャント用FET(2N7000)を追加したところ収まった。
 次に送信から受信に戻るときにスピーカーから大きな音がしてしまう。ここもバイテラルの泣き所かもしれない。マイクアンプとAFアンプICはコンデンサーに繋がっているので、送信が完全にOFFしてからAFがONしないとこのようなことが発生するわけだ。AFの入力をシャントすることはできないため、止む無くスピーカーを送信時に切り離し、受信に切り替わるときにリレーを遅延回路でゆっくり接続させるように回路を追加した。これでも少し残るがあまり遅くすると頭切れになっても困るので、適当なところでOKとした。

 一応完成となったので、ローカル局にモニターしてもらった。音声は問題なく綺麗に聞こえているとのこと。受信も問題なく綺麗に復調できている。
 送信出力はピークで2Wである。
 SGでの受信試験では-100dBmがかなり厳しい。7MHzと比べると10dBほど悪いようだ。
この対策としてはプリアンプをつけることだが、内部に組み込むには発振の恐れもあるので、実際に使用した都合で、リニアやプリアンプを検討したいと思う。

ここのところKnobless Wonderにはまって3台も作ってしまった。簡単にSSBトランシーバーが出来て、実使用できることに感激である。自作は実に面白い。


There is no English this time. I'm sorry.
Please use google translation.
If you do not understand please comment.

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